初めて行った鶯歌で、イベント撮影してきた
#18 May 13, 2026
鶯歌に初めて降りた。陶磁器の街として知られているが、実際に来てみると、山が近くにあって、古い街並みが残っていて、台北とは雰囲気が異なる。2025年4月にできた「新北市美術館」があるのは、そういう場所だ。
今回はその美術館で開催されるイベントの撮影があった。
台北からは「TRA」という在来線でしか来れないので、早めに出発。鶯歌の駅構内にあった朝食屋でハンバーガーを食べながら、会場の配置図とスケジュールを読む。初めて来た街なので散策したかったが、それは次回の楽しみにして会場へ向かった。
世界の民藝をテーマにした屋外イベントで、多様なブースが並ぶ。今回の撮影で特に重要だったのは、開幕式での関係者の集合写真と、各メディアへのスピード納品。イベント前に依頼者と打合せを済ませ、進行の流れと撮影の優先順位を擦り合わせた。事前に話せて良かったことが二つある。
一つは、集合写真に写り込む特殊なディスプレイ装置のこと。アニメーションの切り替わりが速く、フリッカーも出る。「きれいに写せないかもしれない」と先に伝えられたのは良かった。
もう一つは、開幕式の舞台構成について。セットが大きく、全部を画角に入れようとすると、散漫な写真になる予感がした。「一番重要な部分はどこですか」と聞いて、その他は思い切って外す相談をした。こういう調整は、現場に入ってからでは遅いので、事前に出来て安心した。
もともとは一人での撮影だったが、午後からもう一人加わって二人体制になった。
一人で写真と映像を撮りながら、開幕式後すぐに写真を納品する、というスケジュールは結構きつい。だけど、もう一人いてくれることで、考えることを減らせるのは助かる。自分が動けない瞬間に撮ってもらったり、重要なシーンで役割分担したり。広い会場を二人で回れることの、心理的な余裕はかなり大きかった。
また、撮影途中に写真を確認してもらったところ、「子供が楽しんでいる様子をもう少し多めに」という要望があった。これを早い段階で聞けたことで、残りの時間で撮り方を調整できた。初めて依頼いただく方との仕事では、方向性の擦り合わせを早めに行うことが、やはり大事だと思う。
イベントの撮影は大変だけど、新しい体験に触れることが出来るので学びがある。
ここからは反省点、開幕式で撮影した集合写真。
まず、全員が同じカメラを見ている写真が少なかった。5秒しか時間がないと聞いていたのに、撮影前に「こちらを見てください」の一声をかけられなかった。その一言で、写真はまったく変わったはずだ。
配置についても同じで、もう少し時間をもらって、きちんと整えるべきだった。どちらも、あと一押しの話だった。現場でのディレクションがまだ甘い。
あと、中文のコミュニケーションについて。
納品時間を「1時間以内」と思っていたが、実際は「30分以内」だった。確認したつもりでも、腑に落ちるまで聞き直す姿勢が必要だと、改めて思う。
写真の現像については、明暗の感覚が他の人とずれていることがある。自分では明るいと思って出した写真が、「暗い」と言われることが多い。良い写真を見て、なぜ良いのかを考える時間と、人にレビューしてもらう機会を、もっと増やしたい。
撮影が終わって、一人で帰る時間が好きだ。初めての場所に行けたこと、その日に見た瞬間を残せたこと、上手くいったことと次への課題を整理しながら、電車に揺られる。それだけで、仕事をした気になれる。
普段、撮影だけをしているわけじゃないけど、こうして写真を通して誰かの役に立てる機会があるなら、またその日に見た素晴らしい瞬間を、最小限のカメラとレンズで記録していきたい。






